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臨床で毎日使える
図解整形外科学検査法
著:新関真人DC
発行:医道の日本社
ISBN4-7529-3058-7 C3047
定価:4,515円(税5%込み)

アップデート(5) 2003年2月22日

修正・追加

■P.6

SLR

臨床メモとして以下を追加:

SLR は、一般には、(本書で紹介した通り)70度以下で電撃痛が走れば、真の陽性とされている。 Rebainらは、1998〜2000年の研究論文を見直し、SLRが広く使用されている整形外科学検査法でありながら、 検査方法や評価法の標準化が行なわれていないことを指摘している。
しかし、Jonsson Bらの研究では、SLRが30度以下で陽性の患者に、休息時、夜間、咳をした時の痛み、痛み止めの使用量が大きいこと、椎間板ヘルニア手術後にSLRが陽性である患者は、長期的な結果が好ましくないことが示されており、臨床上の関係が一概には否定できないことになる。
Smithらが献体を使って行ったSLRによる神経根の動きの研究では、下肢の挙上にともない、 神経根が0.5〜5mmほど遠位に牽引、その結果、後外方へと動くことが明らかになった。 この後外方の動きが、後外方へのヘルニアを物理的・化学的に刺激するものと考えられる。Cameronらは、 非検査側の股関節の位置がSLRの結果に影響するとしている。検査を繰り返し行う際には、患者を常に同じポジションに置くことが大切である。

Cameron DM, Bohannon RW, Owen SV,Influence of hip position on measurements of the straight leg raise test., J Orthop Sports Phys Ther 19: 3, 168-72, Mar, 1994.

Jonsson B, Stromqvist B, The straight leg raising test and the severity of symptoms in lumbar disc herniation. A preoperative evaluation., Spine 20: 1, 27-30, Jan 1, 1995.

Jonsson B, Stromqvist B, Significance of a persistent positive straight leg raising test after lumbar disc surgery., J Neurosurg 91: 1 Suppl, 50-3, Jul, 1999.

Smith SA, Massie JB, Chesnut R, Garfin SR,Straight leg raising. Anatomical effects on the spinal nerve root without and with fusion., Spine 18: 8, 992-9, Jun 15, 1993.

■P.38

片足立ち腰椎伸展テスト>

臨床メモとして以下を追加:

脊椎辷り症(spondylolisthesis)の約90%はL5で起る。辷り症は腰椎だけでなく、頚椎でも起りえる。 辷り症は、タイプI〜Vに分類される。最も多いのはタイプII(虚血性)で、関節突起間部へのストレスによる疲労骨折が主な原因である。 症状として腰殿部痛や下肢の放散痛/しびれが主であるが、下肢の間欠性跛行や明らかな神経症状を伴うこともある。 正確な診断には、X線の側面像、斜位像(テリアの首輪部)、屈曲‐伸展像、圧縮‐牽引像が必要。 屈曲‐伸展像では3mm、圧縮‐牽引像では5mmの滑りで、分節が不安定と判断される。シンチグラフ、MRIも有用である。 10〜15歳の運動選手で、3ヶ月以上の腰痛を訴える患者の40%近くに、 シンチグラフ検査で、関節突起間部へのストレス反応が観察されるという。放置すれば疲労骨折の原因となる。

 

 

特徴

タイプI

先天性

仙骨やL5に先天的な変形がみられることが多い

タイプII

虚血性

関節突起間部の(A)疲労骨折による完全分離、(B)非完全な分離、(C)過伸展による急性骨折、3つのサブクラスに分類される。 10〜15歳に最も多く見られる

タイプIII

退行性

退行性関節症による二次的な辷り症。 非分離的脊椎すべり症とか、偽脊椎すべり症と呼ばれる。 L4に最も多く起る。慢性腰椎の場合は要注意。

タイプIV

外傷性

関節突起間部以外の椎弓の骨折が原因、C2に最も多く見られる

タイプV

病理性

転移癌、骨粗鬆症、パジェット病などによる病理骨折が原因

■P.82

ワイプテスト

>

臨床メモとして以下を追加:

膝のケガに対し、X線検査が必要が否かを簡単にスクリーニングする方法として、OKR(Ottawa Knee rule)がある。 以下のクライテリアを満たした場合のみ、X線検査が必要と判断する。

下記のいずれかの症候

  1. 患者が55歳以上
  2. 膝蓋骨に、他の痛みとは異なる圧痛の場所がある
  3. 腓骨骨頭に圧痛のがある
  4. 膝が90度以上屈曲できない
  5. 怪我の直後に痛みのため体重をかけられず、来院時でも痛みのため4歩以上歩けない

Stiell IG, Wells GA. Methodologic standards for the development of clinical decision rules in emergency medicine. Ann Emerg Med 1999 Apr;33(4):437-47.

Stiell IG, Wells GA, Hoag RH, Sivilotti ML, Cacciotti TF, Verbeek PR, Greenway KT, McDowell I, Cwinn AA, Greenberg GH, Nichol G, Michael JA. Implementation of the Ottawa knee rule for the use of radiography in acute knee injuries. JAMA 1997 Dec 17;278(23):2075-9.

tiell IG, Greenberg GH, Wells GA, McDowell I, Cwinn AA, Smith NA, Cacciotti TF, Sivilotti ML. Prospective validation of a decision rule for the use of radiography in acute knee injuries. JAMA 1996 Feb 28;275(8):611-15.

Stiell IG, Wells GA, McDowell I, Greenberg GH, McKnight RD, Cwinn AA, Quinn JV, Yeats A. Use of radiography in acute knee injuries: need for clinical decision rules. Acad Emerg Med 1995 Nov;2(11):966-73.

Stiell IG, Greenberg GH, Wells GA, McKnight RD, Cwinn AA, Cacciotti TF, McDowell I, Smith NA. Derivation of a decision rule for the use of radiography in acute knee injuries. Ann Emerg Med 1995 Oct;25(4):405-13.

■P.94

引きだしテスト‐足関節

臨床メモとして以下を追加:

[上記OKR (Ottawa Knee Rule)の膝版である]足首のケガに対する、クイックでかつ正確なスクリーニングテストとして、 OAR (Ottawa Ankle Rule)が広く使われている。以下のクライテリアを満たした場合のみ、X線検査が必要と判断する。

来院時の足首の痛み+下記のいずれかの症候

  1. 患者が55歳以上
  2. 怪我の直後に痛みのため体重をかけられず、来院時でも痛みのため4歩以上歩けない
  3. 内果/外果の遠位端に圧痛
  4. 受傷後7〜10日でも痛みと腫れが消えない
  5. 患者との会話がとれない

tiell IG, Greenberg GH, McKnight RD, Nair RC, McDowell I, Worthington JR. A study to develop clinical decision rules for the use of radiography in acute ankle injuries. Ann Emerg Med 1992; 21:384ミ390