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第14回(2003年8月号に掲載 )
今月のテーマ:ピラテス・エクササイズ
[連載から一部転用]
ピラテスというエクササイズ法を御存知だろうか。 ドイツ生まれで、欧米(豪も)育ち、ヨガから哲学の部分を取り除き、現代の運動理論で武装したエクササイズ法である。 専用の器具も使用する。腹横筋による腰骨盤部の安定化をはかるところなんかは、この連載で繰り返し紹介しているコンセプトと見事に一致する。 英語ではPilatesで、ピラーテと最後の「S」は発音しない。最初はフランス語かと思いきや、ジョセフ・ピラテスというドイツ人が70年前に考案したエクササイズであった。 オリジナルは筋骨格系のリハビリとして開発されたものだが、その後改良され、 今では(ヨガのように、ゆっくりとした動きで)均整のとれた引き締まった身体を作るためのエクササイズに進化している。 リハビリ体操を処方するにも、PAケアとか、カイロプラクティック・リハビリテーションなどと言うと患者に敬遠されがちてある。 ところが、同じエクササイズなのに、「マドンナ」や「ジュリア・ロバーツ」などが愛用する欧米豪育ちの「ピラテス」ですというと、興味津々。 この魔法の言葉は、若い女性患者にはとても有効であるようだ。
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ピラテスを使用した臨床例はないかと、Medline内をサーチしてみると、結果は5件(連載時)。 その中の一件「成人側弯症に対するカイロプラクティックとピラテス療法(*1)」を紹介する。 ケースでは、39歳の患者が、20年前に側弯症へ治療として、T9からT4への脊椎の固定手術を行ったが、痛みが徐々に激しくなり、ついに日常生活にも支障をきたすようになった。 「駆け込み寺」として訪れたカイロプラクティック・クリニックで、SOTテクニックによる治療を受けると同時に、同時に院長の判断で、 ピラテス・エクササイズをインストラクターのもとに1年間続ける。 痛みは完全に消えないものの、日常生活ならびに就労時に支障がなくなるレベルまで機能回復を果たしている。
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治療としてのエクササイズを処方する上では、「患者への動機づけ」は、成功への大事な要素の一つである。 痛みがある時には「動かさない」というのが、一般に浸透している考え方である。 患者の「動かすと組織の損傷度が増し、痛みが増大する」という恐怖心は理解できる。 加えて、薬や注射、マニピュレーション、マッサージ、温熱治療、超音波、つぼ押し、針と、臨床家に任せっぱなしの「能動的」な治療になれてしまっているので、 患者自らが治療に参加するというコンセプトは受け入れにくいのだろう。そこへ、(これまた)180度反対の「積極的に動かす」というコンセプトを導入するのは容易なことではない。 リハビリと言う言葉にも抵抗があるようだし、アクテブケアの「ケア」の2文字にも、能動的治療のイメージが強いようだ。 ピラテスは、幸いにしてファッション性を備えて成長してきたので、(冒頭でも触れたが)リハビリやアクテブケアのような重苦しいイメージもなく、 「パワーハウスを安定させ四肢をフリーにする」というアイディアは、別に腰痛患者に限定されず、神経筋骨格系の障害のマネジメントとして、 有効に活用できる。患者の痛みに惑わされることなく、適切なエクササイズを、適当な時期に処方し、早期の機能回復をめざしたい。
2006年9月
PILATES Masteryが刊行されます
「PILATES Mastery:習熟したい人のピラティス・テキスト—マットワーク編」が、発売となります。 臨床家にも役立つ一冊に仕上っています。